冬になると、多くの人が新たな年を迎えるにあたって、体調管理や健康維持を考え始めます。運動習慣をつけることは、健康を守る上で重要な要素の一つです。その中で、低山登山は手軽に始めやすい運動として注目されています。特に、標高が低めの山を選べば、体力に自信がない方や、健康維持を目的にした方でも気軽に登山を楽しむことができます。(この写真は岐阜県加茂郡川辺町にある遠見山(とおみやま)は、「岐阜のグランドキャニオン」と呼ばれる美しい景観で人気のあるスポットです。)
私も毎年、冬に低山登山を行い、健康を維持しています。しかし、数年前から登山中、上り坂を登ると胸が苦しくなるという症状に悩まされていました。平坦な道を歩いていると落ち着くのですが、急な坂を登るとすぐに胸が圧迫される感じがあり、何か問題があるのではないかと心配になっていました。これが数年続き、先日の健康診断では、心電図で「要経過観察」と診断され、循環器科で検査を受けることになり、ついでにこの旨を先生に話しました。。
その結果、心臓には特に異常は見られず、加齢によるものではないかと言われました。悪い結果ではなかったため安心しましたが、年齢を重ねるにつれて体に変化が現れることを実感しました。ですが、その後、上り坂でも負荷を少なくする歩き方を実践したところ、胸の苦しさがほとんど解消されました。この歩き方には、足の裏全面で着地し、重心を前かがみに保ちながら、歩幅を短くしてゆっくり歩くというポイントがありました。実際にこれを試したところ、確かに胸の苦しさはほとんど感じなくなりました。
この経験から、低山登山がどれほど健康に良い影響を与えるか、また胸の苦しさを解消する歩き方について深く考えるようになりました。そこで、本記事では低山登山の健康維持効果や、胸が苦しくなる理由、そしてそれを解消するための歩き方について詳しく解説します。
1. 低山登山の健康維持効果
低山登山は、標高が低く、比較的短時間で登れるため、多くの人にとって手軽に行える運動の一つです。登山のメリットは、何と言っても「有酸素運動」を自然な形で行える点です。これによって、以下のような健康効果が期待できます。
(1) 心肺機能の向上
登山は、上り坂を登ることで心拍数が上がり、肺活量を使う運動になります。この有酸素運動により、心肺機能が向上し、血液の循環が良くなります。特に山を登ることで、普段使わない筋肉も使われ、心臓や肺への負荷を少しずつ高めることができます。定期的に低山登山を行うことで、心臓の健康を保つことができます。
(2) 筋力と骨密度の向上
登山では下半身を中心に多くの筋肉を使います。特に、登るときに必要とされる筋力が強化され、下半身の筋力を保つことができます。また、上り坂を登ることで骨にも負荷がかかり、骨密度を高める効果も期待できます。年齢とともに骨密度が低下することがありますが、登山を続けることで骨を強く保つことができます。
(3) ストレスの軽減
登山は、自然の中での運動となるため、日常生活のストレスから解放される時間を持つことができます。特に冬の寒い季節に登山をすると、冷たい空気を吸い込みながら歩くことが気分転換になります。ストレスを減らし、リラックスできる時間を持つことで、心身ともに健康を保つことができます。
2. 胸が苦しくなる原因とその対策
登山中に胸が苦しくなる症状は、いくつかの要因によって引き起こされることがあります。特に、上り坂を登る際に発症しやすいという点が特徴的です。以下の点がその原因として考えられます。
(1) 心臓への負荷
上り坂を登ると、普段よりも心臓に大きな負荷がかかります。特に急な坂を登ると、心拍数が急激に上がり、心臓が酸素を供給しようとするため、胸が圧迫されるように感じることがあります。このような症状は、無理に運動を続けることなく、体を休めることで軽減することができます。
(2) 呼吸の乱れ
登山中は、体が求める酸素を供給するために呼吸が早くなりますが、上り坂では特に息が上がりやすく、酸素の供給が一時的に不足することがあります。これにより、胸が苦しく感じることがあります。息を深く吸うことを意識して、呼吸を整えることが有効です。
(3) 加齢による体の変化
年齢とともに、筋力や体力が低下し、体が運動に対して適応しにくくなることがあります。特に、加齢によって心肺機能が低下し、坂道を登ることが負担になることもあります。そのため、無理をせず、体調に合わせた運動を心がけることが重要です。
3. 胸が苦しくならないための歩き方
登山中に胸が苦しくならないようにするためには、歩き方を工夫することが大切です。実際に私が実践して効果を感じた歩き方は以下の通りです。
(1) 足の裏全面で着地する
今まで私は足の裏の半分、特にかかとや足の指の部分で着地していましたが、この歩き方だと膝や腰に負担がかかりやすくなります。足の裏全体で着地することで、足にかかる衝撃を分散させ、負担を減らすことができます。特に登山では足の裏全体を使って、重心をしっかり保つことが重要です。
(2) 重心を前かがみに保つ
登山時は、上り坂を登る際に重心を前かがみに保つことが大切です。これにより、登る力を効率的に使うことができ、体にかかる負担を減らすことができます。背筋を伸ばすことは大切ですが、前かがみの姿勢で歩くことが効果的です。
(3) 歩幅を短く、ゆっくり歩く
急いで登ろうとすると、呼吸が乱れやすくなり、胸が苦しくなる原因となります。歩幅を短くし、ゆっくりとしたペースで歩くことで、呼吸を整え、無理なく登ることができます。また、急な坂でもゆっくり歩くことで、足への負担も軽減され、快適に登ることができます。
4. まとめ
低山登山は、健康維持に非常に有効な運動です。特に冬の寒い時期に行うことで、ストレスを解消し、心肺機能を高めることができます。しかし、登山中に胸が苦しくなる症状に悩むこともあります。その原因は、心臓への負荷や呼吸の乱れ、加齢による体の変化などです。これを解消するためには、歩き方を工夫することが重要です。足の裏全面で着地し、重心を前かがみに保ちながら、歩幅を短くしてゆっくり歩くことが、胸の苦しさを防ぐために効果的であると実感しています。
低山登山は、無理のない範囲で行うことで、心身ともに健康を保つために最適な運動です。体調に合わせたペースで登り、心肺機能や筋力を高め、冬の間でも元気に過ごすための一つの方法として、これからも続けていこうと思います。