海外でPSE済みって本当?中華工場が出す証明書の落とし穴
中国工場や輸入代行業者から商品を仕入れる際、「この製品はPSE済みです」と言われた経験はありませんか?
しかしその言葉、鵜呑みにすると危険です。海外でPSE済みとされる証明書には、形式だけ整っていても日本の法令に適合していないケースが多数存在します。
この記事では、海外発行のPSE証明書の落とし穴と、それを見極めるポイントを解説します。
「海外でPSE取得済み」ってどういう意味?
多くの場合、中国工場や貿易業者が提示する「PSE証明書」は以下のような内容です:
- 中国国内の民間機関が発行したもの
- 「JAPAN」や「PSE」の文字が入っているだけ
- 試験結果に記載されている基準が日本と異なる
実際には日本で認められていない機関で発行されたものが多く、「日本向けPSEとは別物」です。
よくある怪しい証明書の特徴
① フォーマットが雑・英語のみ
日本語表記が一切なく、「Japan PSE Certified」などの記載のみ。日本の制度ではありません。
② 発行機関が不明・実在しない
書類にある機関名で検索しても、実態がなかったり、検査内容が不明確。
③ 製品型番や仕様が一致していない
実物とは異なる型番や電圧が記載されている例もあります。
なぜこうした証明書が出回るのか?
- 工場側が「日本市場向け」と誤認している
- 貿易業者が売りやすくするために便宜上つけている
- 「検査した」という事実を示すだけで、PSE制度に基づいていない
つまり、「試験した=PSE適合」ではないという点に注意が必要です。
輸入者が確認すべき3つのポイント
- 発行機関は日本で認可された登録検査機関か?
経産省の登録検査機関リストを参照 - 製品の仕様が日本市場向け(100V、50/60Hz)か?
中国・欧米仕様ではPSE対象外の可能性も - ラベルや表示が正しく作られているか?
英語表記のみではNG。日本語での表示が必要
「PSE取得済み」と言われたら必ず確認を!
Q. 工場がPSEマークをつけてるから大丈夫?
→ 表示されていても、試験資料・届出がなければ違反です。
Q. 中国の検査報告書は使える?
→ 一部資料として活用できる場合もありますが、正式なPSEではありません。
Q. 第三者に頼んで確認してもらえる?
→ PSE対応に詳しい外注先・コンサルに依頼するのが確実です。
まとめ:証明書より「根拠の中身」が大切
中国から商品を輸入する際、「PSE取得済み」と言われたからといって、安易に信じるのは危険です。
法令に適合した形で、正しく表示・届出・資料保管がなされていることが重要です。
輸入者としての責任を果たすためにも、書類の形式よりも中身を確認し、必要なら第三者のサポートを受けるようにしましょう。
次回は、「技術基準適合確認書って何?提出が必要な場面と書き方」について紹介予定です。