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検査不要って本当?PSEが不要な商品とその注意点

検査不要って本当?PSEが不要な商品とその注意点

副業で中国などから電気製品を輸入・販売しようとした際に、「これはPSE対象じゃないから大丈夫」「検査は不要です」という言葉をサプライヤーや商社から聞くことがあります。しかし本当に"PSE不要"と言い切れるのでしょうか?

本記事では、PSEが不要な商品の定義や、誤認しやすいグレーゾーン商品検査不要とされる理由の裏側などを、品質管理の実務経験をもとに詳しく解説します。誤った判断は違法販売や製品事故の原因にもなり得るため、輸入者としてのリスク管理に役立ててください。


1. PSEが「不要」な商品の基本定義

PSE(電気用品安全法)は、日本国内で販売される電気製品の安全性を確保するための法律です。ただし、すべての電気製品が対象というわけではありません。

▽ PSE対象外になる主な条件:

  • 経済産業省が指定する"電気用品"の定義から外れるもの
  • 法律で対象外と明記されている非家庭用設備
  • 電力を使用しない(バッテリーやAC不要)製品

▽ 具体例:

  • 電源を使わないLEDライトの外装カバーのみ
  • 乾電池駆動で電圧が極めて低いトイ製品(例:おもちゃ)
  • 家庭用でなく業務用の工業設備(一定の条件下で)

ワンポイント:PSEが不要な場合でも、製品の仕様や使用環境が変わると対象になる可能性があるため、"一概に大丈夫"とは言い切れません。


2. よくある「PSE不要」と誤解されるグレー商品

サプライヤーや輸入者の間で「これはPSE対象外」とされる製品には、判断が難しいグレーな商品が存在します。

▽ 代表例:

  • USB給電式の加湿器やLED照明
  • ポータブル電源(モバイルバッテリー)
  • バッテリー内蔵型のミニ家電

これらは一見すると低電圧機器や雑貨のようですが、技術基準や用途によってはPSEの対象になることがあります。

ワンポイント:USB機器であっても「定格5V超のアダプタが付属」や「電気用品リスト該当機能」があればPSE対象になる場合があります。


3. サプライヤーが「検査不要」と言う理由とは?

中国や海外のサプライヤーが「PSE不要」と説明する背景には、いくつかの要因があります。

▽ 主な理由:

  • 日本法規制を十分に理解していない
  • 他の国(例:CE, UL)との混同
  • 過去に摘発や指摘を受けた経験がないため問題視しない

▽ 問題点:

  • CEマークがある=日本でもOKと誤認
  • 技術基準に準拠していない「なんちゃって報告書」を提出
  • 最悪の場合、製品事故後に輸入者が全責任を問われる

このような誤解のまま仕入れを進めると、通関で止まるだけでなく、販売後のリコールや行政処分の対象になるリスクもあります。


4. 自分で調べるには?対象製品かどうかの確認方法

輸入者としては、サプライヤーの言うことだけを鵜呑みにせず、自ら判断できる最低限の知識を持つことが重要です。

▽ チェック手順:

  1. 経済産業省「電気用品の範囲等の解釈について(通達)」を確認
  2. 該当しそうな項目に類似製品が含まれていないか調べる
  3. 電源方式や電圧、用途を明確化する
  4. 不明点があれば専門家や試験機関へ照会する

▽ 有用なリンク:

個人輸入や副業であっても、製品ごとの技術資料を取り寄せて確認を怠らない姿勢が、トラブル防止に繋がります。


5. PSE不要=検査も全く不要ではない

仮にPSE対象外であったとしても、「製品安全確認」そのものをスルーしてよいわけではありません。

▽ 実際に必要となる対応:

  • 技術仕様書の確認と整理
  • 輸送中の電池発火リスクなどの確認
  • CEやFCCといった海外規格での安全基準との整合性
  • 輸入通関時のトラブル回避のための資料整備

ワンポイント:Amazonや楽天などの大手モールでは、PSE対象外でも安全基準を満たすことが条件になっているケースがあります。

また、消費者からの問い合わせに対して、技術仕様や安全性を説明できないと、信頼を大きく損なう要因になります。


6. 実際に起きた「PSE不要」の落とし穴|実例紹介

▽ ケース1:LEDライトのPSEラベルがなく販売停止

USB給電のLED製品がPSE対象と認定され、販売停止と行政指導を受けた事例。サプライヤーの「対象外です」という言葉を信じていた。

▽ ケース2:モバイルバッテリーがPSE対象と知らずに輸入

2019年以降、モバイルバッテリーは特定電気用品に追加されましたが、それ以前の知識のまま輸入・販売し、販売差止命令を受けた。

▽ ケース3:加熱機能付きの座布団がPSEなしで販売、リコールに

電熱線を含む製品であることを認識しておらず、事故発生後に回収命令が出された。

▽ ケース4:USB卓上扇風機が発煙し、ユーザーから通報

PSE対象外として販売していたが、事故後に経済産業局の調査対象となり、輸入者の管理不備として社名が公表された。

▽ ケース5:アダプタなし販売で逃げたが、セット販売扱いに

本体にはPSEが不要と判断し、USBアダプタを同梱せずに販売。しかし「別売アダプタでの動作が前提」とされ、セット商品扱いでPSE未対応が指摘された。


7. まとめ:PSE不要の判断は「消極的な免除」ではない

PSE対象外であるという判断は、積極的に「安全確認しなくてよい」という意味ではありません。

むしろ「自分で責任を持って判断する」必要がある、いわばプロの輸入者としてのスタート地点です。

自社や副業としての販売を安全かつ長期的に続けるためにも、曖昧な知識ではなく、実際の法令・通達を元にした判断を心がけましょう。