ハンディファンはなぜPSE対象外?リチウムイオン電池製品の落とし穴と安全性の見極め方

最近、リチウムイオン電池による発火事故が相次いでいます。モバイルバッテリーやハンディファンなど、輸入される製品にも使用されているこの電池。しかし、「PSEマークがないのに販売して大丈夫?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、なぜハンディファンがPSE対象外なのか?という点から始まり、リチウムイオン電池製品におけるPSE制度の適用範囲、非対象製品の安全確認方法までを、品質管理の視点から詳しく解説します。
1. リチウムイオン電池は全てPSE対象ではない
PSEの対象となるリチウムイオン電池には、次の条件があります:
- 単電池1個あたりの体積エネルギー密度が400Wh/L以上
- ユーザーが交換可能な構造
つまり、内蔵型で密度が基準未満であればPSE対象外となります。
2. ハンディファンがPSE対象外とされる理由
ハンディファンは、以下の2つの条件を満たすため、基本的にPSE対象外です:
- バッテリーが内蔵されており、ユーザーが取り外せない
- エネルギー密度が400Wh/L未満
そのため、PSEマークがなくても販売が可能です。これは一例ですが、他にも充電式掃除機でエネルギー密度が400Wh/Lを超えていても、バッテリーが内蔵されており、ユーザーが取り外せない製品はPSE対象外です。
3. PSE対象外製品でも事故は起こる
問題は、PSE対象外=安全性確認不要ではないということです。PSEの対象外であっても、事故が起きれば製品回収や販売停止などの処分を受けるリスクがあります。
4. IEC62133-2試験を行っている工場は信頼できる
PSEの義務がなくても、IEC62133-2という国際安全規格に基づく試験を実施している工場を選ぶのが理想です。これにより、以下の安全試験が行われていることがわかります:
- 短絡試験
- 過充電試験
- 落下・加熱試験
安全意識の高い工場=長期的に信頼できるパートナーといえます。
5. 工場選定のチェックポイント
一例になりますが、中国工場にPSEやIEC62133-2の理解があるかを見極めるために:
- 非対象製品でも試験報告書を持っているか?
- 独自で安全性確認のプロセスを取っているか?
- 日本向けの輸出実績があるか?
これらを確認するだけでも、事故リスクを大きく減らすことができます。非対象製品の場合、IEC62133-2のような安全性試験を行っていない工場も多く、コストも安いですが、避けた方がベターです。
更に品質重視で事故するよりはコストアップも仕方ない、と考えるならば、工場の工程監査をオススメします。しかし、これには専門知識が必要になります。一般的なQA/QCの観点での工程監査以上に専門知識が必要になりますので、専門家に依頼するのばベターです。というか素人が工程監査をしても分かりません・・・。
まとめ:PSEの対象外でも「安全確認」は輸入者の責任
「PSEが不要だから検査もいらない」という考えは非常に危険です。
- PSE対象外でも安全性は必要
- IEC62133-2の試験実施有無は重要な最低限の判断基準
- 輸入者としての信頼は工場選びから始まる
今後の輸入ビジネスにおいて、自社商品を安心して販売するためにも、最低限の知識と確認体制を整えておきましょう。
※夏場は高温が苦手なリチウムイオン電池にとっては注意が必要な季節。落としたり、膨張していたら取扱に注意しましょう。破裂などの異常が起きやすくなります。