岐阜県50代バイク乗りの備忘録

50歳を過ぎても岐阜県内をツーリング。新しいコース探しをする備忘録です。

「不合格」にだまされるな!丸型PSE試験の落とし穴と試験機関選びの注意点

「不合格」にだまされるな!丸型PSE試験の落とし穴と試験機関選びの注意点

副業や小規模ビジネスで電気製品を中国などから輸入し、国内で販売する際に避けて通れないのが「PSE(電気用品安全法)」の対応です。特に電気用品の中でも丸型PSEに該当する「特定電気用品以外の電気用品」については、試験機関での評価・証明が必要となります。

しかしここで問題になるのが、中国の聞きなれない試験機関からの“曖昧な不合格通知”です。今回は、実際に筆者が体験した丸型PSE試験での不合格トラブルを元に、試験機関の選び方や対策方法を徹底解説します。


1. 丸型PSEとひし形PSEの違いをおさらい

PSEには2種類あり、それぞれ法的義務が異なります。

  • ひし形PSE:特定電気用品(主に事故リスクの高い製品)
  • 丸型PSE:特定電気用品以外の一般的な電気製品

丸型PSEの場合、製造事業者または輸入事業者は、製品が技術基準に適合していることを確認し、その旨を届け出る必要があります。そしてこの確認には、外部の第三者機関(試験機関)での試験報告書が用いられます。


2. 問題:不明瞭な不合格通知の実態

筆者が実際に遭遇したのは、中国の現地工場経由で提出された試験報告に対して、「不合格」との連絡が届いたケースです。しかし、そこには試験のどの項目で不合格なのかが明記されていませんでした。

通常、PSEの試験はJIS(日本工業規格)やIEC(国際電気標準会議)の基準に基づいて行われます。つまり、どの規格のどのテスト項目において問題があったのか、具体的に示されるべきです。

しかしその試験機関は、単に「不合格」とだけ報告してきたのです。


3. 信頼できる試験機関とそうでない機関の違い

信頼できる試験機関の特徴

  • ISO/IEC 17025の認定を受けている
  • 日本向け試験の実績が豊富
  • 試験報告書に詳細な試験項目と結果が明記されている
  • 技術者との質疑応答が可能

注意が必要な試験機関の特徴

  • 名前を聞いたことがない
  • 報告書のフォーマットが簡素、あるいはテンプレート化
  • 「合格・不合格」だけが記載され、根拠の説明がない
  • 英語または中国語のみで、日本市場向けの配慮がされていない

ポイント:信頼性のある試験機関では、不合格時にも「どの項目が」「どのようにして」「なぜ不合格となったのか」が明記されます。


4. なぜこうしたトラブルが発生するのか?

背景には、試験機関自身がPSEの法令を正確に理解していないという問題があります。

PSEは日本独自の制度であり、CEやULとは大きく異なります。試験担当者がIECや欧州規格との違いを知らないまま試験を進めてしまうと、本来は合格であるものも「不合格」とされることがあります。

また、試験報告が英語や中国語のみで提出され、日本語による解説がない場合、日本の認可を得る際に使えないこともあります。


5. 対策:PSEの試験で失敗しないためのチェックリスト

  1. 使用予定の試験機関がISO/IEC 17025に認定されているか確認
  2. 試験報告書のサンプルをもらい、内容が明瞭か確認
  3. 技術基準(JISまたはIEC)に基づいた試験であることを明記してもらう
  4. 試験前に「PSE向け試験である」ことを明確に伝える
  5. 不合格時には試験項目の詳細と根拠を提出してもらう

これらのチェックを怠ると、「合格基準を満たしているのに不合格」という理不尽な状況に巻き込まれかねません。


6. 実録:筆者が反論して合格に覆った事例

ある機器で不合格と連絡を受けた際、試験項目とその基準を提示するよう試験機関に求めたところ、担当者から返ってきた回答はあいまいなものでした。

そこでこちらから、JIS規格に基づく試験手順と要求性能を明記して反論したところ、最終的には「再検査の結果、合格となりました」と修正されたのです。

つまり、試験機関の言う「不合格」を無条件に信じるのは危険です。


7. 試験機関は安さより「信頼性」で選ぶ

中国の工場から「試験報告付きで出荷します」という提案を受けたとき、ついコストを抑えようと安価な機関を選びがちです。しかし、後で不備が発覚すれば、再試験・再取得で数倍のコストがかかることになります。

最初から信頼できる試験機関を使うことが、結果的にはコスト削減になります。


まとめ:不合格通知の裏側を見抜く力を

丸型PSEの取得において、「不合格」と言われても、それが正当な根拠によるものかどうかは別問題です。試験機関を安易に選ぶのではなく、PSEの制度を理解し、技術的な視点から対処する姿勢が求められます。

特に、試験項目と基準が明示されていない不合格通知は要注意。必ず確認・反論を行いましょう。