岐阜県50代バイク乗りの備忘録

50歳を過ぎても岐阜県内をツーリング。新しいコース探しをする備忘録です。

50代でVFR800を降りた。20年連れ添った相棒を手放して、本当に後悔しているのか

50代でVFR800を降りた。20年連れ添った相棒を手放して、本当に後悔しているのか

エンジンをかける前に、少しだけ手が止まった日があった。

200kg近い車体を支えるハンドルを、いつもより重く感じた。それは、転んだ直後だったからだ。

18年間、一度も転ばなかった。VFR800に乗り始めてからずっとだ。それなのに、ここ2年で立て続けに2回、転倒した。

「後悔しているか」と聞かれたら——正直、今でもすぐには答えられない。

VFR800との20年

CBR250RR、CBR400RRと乗り継いで、最後にたどり着いたのがVFR800だった。そこから20年。バイクとの付き合いとしては、長い部類に入ると思う。

V4エンジンの独特の鼓動感、フルカウルの一体感、長距離を走っても疲れにくいポジション。スペックの数字以上に、「相棒」と呼びたくなる何かがあった。

高速道路を長時間走っても、不思議と疲労感が少なかった。風防の効き方、シートの座り心地、ステップの位置。すべてが少しずつ自分の体に合わせて馴染んでいったような感覚があった。

体力が落ちてきたと感じ始めてからも、しばらくは乗り続けられていた。それだけ、自分の体に馴染んでいたバイクだったのだと思う。20年という時間は、バイクとの相性を超えて、生活の一部になっていたのかもしれない。

転倒、そして売却を決めた理由

きっかけは、ここ2年で続けて起きた転倒だった。

それまでの18年間、転ぶことは一度もなかった。だからこそ、2年連続での転倒は、自分でも驚くほどこたえた。体力の衰えを、はっきり自覚させられた出来事だった。

転倒の原因は、フロントタイヤのロックだった。VFR800にはABSがついていなかった。とっさのブレーキでロックし、そのまま倒れた。

カウルが壊れた。修理しようと部品を探したが、バイクが古く、交換パーツがもう出てこないことが分かった。それだけでなく、クランクケースやハンドルにもダメージが及んでいた。

「直して乗り続ける」という選択肢が、現実的に難しくなっていた。そこで、手放すことを決めた。

正直なところ、これは「卒業」というより「やむを得ず」の決断に近い。だからこそ、後悔という感情が今でもどこかに残っているのだと思う。

MT-07を選んだ理由は、「軽さ」だけだった

次のバイクを選ぶときに、まず決めていたことがあった。

VFR800は200kgを超える重さがあった。次は、もっと軽いバイクにしたい。ただし、大型バイクであることは譲りたくなかった。

そこでレッドバロンで、すぐに納車できる中古車を探した。想定していなかった買い替えだったこともあり、新車を選ぶ予算的な余裕はなかった。すぐに乗れることも重要だった。

その条件の中で一番軽かったのが、MT-07だった。

カウル付きがいいとか、ネイキッドがいいとか、そういう好みで選んだわけではない。「軽さ」、ほぼそれだけを基準にした選択だった。CBR250RR、CBR400RR、VFR800と、ずっとフルカウルのスポーツバイクに乗ってきたので、ネイキッドに乗るのはこれが初めてだった。

MT-07に乗ってみて

跨ってすぐに分かったのは、車体の軽さだった。VFR800では押し歩きひとつにも気を遣っていたが、MT-07ではその負担がぐっと軽くなった。特にUターンのしやすさは、乗り換えて一番実感した部分かもしれない。狭い駐車場や信号待ちからの切り返しでも、気を張らずに済むようになった。

一方で、戸惑った部分もある。エンジン音だ。MT-07は並列2気筒で、VFR800のV4のようなスムーズな回転フィールはない。最初にエンジンをかけたとき、正直「これでいいのか」と思った。20年間体に染み付いた音と振動が、まるっきり違ったからだ。ただ、これは慣れの問題だった。乗り続けるうちに、2気筒ならではの鼓動感にも馴染んでいった。

もうひとつ気になっているのが、発進時にエンストしやすいことだ。排気量の違いなのか、エンジンタイプの違いなのか、今のところはっきりした理由は分かっていない。VFR800ではほとんど経験しなかった感覚なので、半クラッチの加減を少しずつ体に覚えさせている段階だ。

ABSがついたことの安心感も大きい。あの転倒を経験したあとだからこそ、「もしもの時に止まれる」という安心感は、走り出す前の気持ちの余裕にもつながっている。

50代に、大型バイクは必要か

結論から言うと、「大型である必要はない」と思う日もあれば、「やっぱり大型じゃないと」と思う日もある。

ただ、今回の経験で分かったことがある。50代になって大事なのは、排気量の大きさそのものではなく、「自分の体が無理なく扱える大型」を選ぶことだ。

VFR800は確かに素晴らしいバイクだった。でも、200kgを超える車重は、体力が落ちてきた自分には、少しずつ負担になっていたのかもしれない。それに気づかせてくれたのが、今回の転倒だったのだと思う。

大型を降りる必要はない。ただ、「どんな大型に乗るか」は、年齢とともに見直していいのだと思う。エンジン形式や車重、足つき、取り回しのしやすさ。若い頃には気にもしなかった項目が、50代になると一気に優先順位を上げてくる。

最後に

20年連れ添ったVFR800を手放すのは、簡単な決断ではなかった。後悔がまったくないと言えば、嘘になる。

それでも、MT-07で迎えた最初の数か月は、エンストに戸惑いながらも、軽さに助けられる毎日だった。違う種類の安心感を、少しずつ見つけている途中なのだと思う。

もし同じように、年齢とバイク選びの間で悩んでいる人がいたら、聞いてみたい。あなたなら、どうしますか?